現在は違う仕事をしていますが、ちょっと前までガールズバーの経営&店長をしていました。
ガールズバーの経営は決してラクでは無かったですが、その時のノウハウや経験が今とても役にたっています。
ガールズバーの開業希望・経営をしている人のお役にたてるよう、僕なりになるべくわかりやすく説明していきたいと思います。
ガールズバーの開業資金は最低でも300万円は必要
僕がガールズバーを開業すると決めた時、開業資金として450万円ほど用意をしました。
一般的にガールズバーの開業で必要な資金は300万円から600万円ほどと言われています。
もちろんガールズバーを開業するエリアや、物件、工事費などにより費用は大きく幅があると思います。ですのでガールズバーの開業を考えているのであれば、初期費用や内訳などどれくらいの費用がかかるのか把握してから行動をして下さい。
僕がガールズバーの開業にあたり物件を探していた時、キャバクラでボーイをしていた時代に懇意にしていただいていたお客さんのつてで、好条件の居抜き物件を借りることができました、そのおかげでコストを大幅に抑えることができてとても感謝しています。
ナイトワークはこういう貴重な出会いがあることがメリットですよね。
ナイトワークはこういう貴重な出会いがあることがメリットですよね。
ガールズバーを開業する際に必要な許可と届出
ガールズバーを開業するにあたり、3つの手続きをする必要があります。
その内容について詳しく解説していきますね。
飲食店営業許可
飲食店を開業するために必ず必要なのが『飲食店営業許可』です。
これは最寄りの保健所に申請するもので、下記の要件を満たしていないと『飲食店営業許可』を得ることができません。
- 必要な申請書を提出していること
- 所定の検査を受けてクリアしていること ├食品衛生責任者がいるかの検査(飲食店の衛生管理をする人) ├建物に関する検査 └設備・備品の検査
食品衛生責任者は1店舗に必ず1名は必要です。
食品衛生責任者になれるのは調理師や栄養管理士などの資格をもった人か、食品衛生責任者になるための1日講習を受講して資格を取得した人に限ります!
そして食品衛生責任者の名前を調理場に掲示することが義務になっています。忘れずに対応してくださいね。
食品衛生責任者になれるのは調理師や栄養管理士などの資格をもった人か、食品衛生責任者になるための1日講習を受講して資格を取得した人に限ります!
そして食品衛生責任者の名前を調理場に掲示することが義務になっています。忘れずに対応してくださいね。
【飲食店営業許可を得るまでの流れ】
①保健所に相談
↓
②保健所に申請書類を提出する
↓
③店舗検査をする日程を調整する
↓
④保健所による店舗確認検査
↓
⑤検査にクリアできれば飲食店営業許可証の交付
※検査基準は保健所ごと、飲食店の業態によって少し異なるので①の時点で要件に関して確認したほうがいいですよ。
①保健所に相談
↓
②保健所に申請書類を提出する
↓
③店舗検査をする日程を調整する
↓
④保健所による店舗確認検査
↓
⑤検査にクリアできれば飲食店営業許可証の交付
手続きはスムーズに進めば保健所に申請してから2〜3週間で完了します。
地域によって違いはあるけど、飲食店営業許可の申請手数料は16,000円~20,000円程度が多いと思います。
地域によって違いはあるけど、飲食店営業許可の申請手数料は16,000円~20,000円程度が多いと思います。
深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出(深夜営業許可)
ガールズバーで、深夜営業&お酒を提供する場合に必ず必要なのが『深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出(深夜営業許可)』です。
※正式名称が長いので、以降の記述は「深夜営業許可」に統一させていただきます。
上の見出しで説明した『飲食店営業許可』を取得してからでないとこちらの届出をすることはできません。
深夜営業許可は、下記に該当する場合は必ず必要です。
- 深夜0時から午前6時にかけて営業する
- お酒の提供をメインに営業する
逆に言えば・・・
ファミレスやラーメン屋のように【食べ物の提供をメインに営業】する場合は、深夜0時以降に営業していたとしても深夜営業の届出はしなくていいし、【深夜0時には閉店をする】居酒屋も、飲食店営業許可のみで営業することができるということになります。
ファミレスやラーメン屋のように【食べ物の提供をメインに営業】する場合は、深夜0時以降に営業していたとしても深夜営業の届出はしなくていいし、【深夜0時には閉店をする】居酒屋も、飲食店営業許可のみで営業することができるということになります。
- 店舗の所在地 └店舗の所在地が深夜営業禁止地域・住民専用の地域だった場合はNG。
- 店舗の構造・設備 ■店舗の床面積が1室あたり、9.5平方メートル以上無い場合はNG。
- 禁止行為 ├接待
※ただし客室が1室のみの場合は除く。
■店舗の内部に見通しを妨げる設備があった場合はNG。
※植物やパーテーションなど。
■店舗内(個室)の出入口に鍵を付けている場合はNG。
※ただし屋外に通じる出入り口の場合は除く。
■店舗内に風俗を害するおそれがあるものを設置している場合はNG。
※卑猥な写真、広告物、装飾など。
■騒音&振動が条例で定める数値未満になっていない場合はNG。
■店舗内の照明の照度が20ルクス以下の場合はNG。
├0時以降の深夜遊興
├22時以降、18歳未満に接客させること
├22時以降、18歳未満を入店させること(※保護者の同伴の場合は可)
├20歳未満にお酒やたばこを提供すること
└客引き行為
深夜営業許可の届出が通ったあとでも、上記に記載している禁止行為をすると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金になるので違反しないようにしましょう。(※風営法50条1項4号)
禁止行為の「接待」についてですが、「ガールズバーではどんなことが接待に当たるのか?」については下記記事を参考にしてみて下さい↓
警察署から深夜営業許可を得るには、ガールズバーの営業を開始する10日前までに届出が必要になります。手数料はかかりません。
この届出は提出書類も多くどんな書類が必要か地域によっても異なるので、知識が無い人が申請をしても何度も再提出することなります。なので僕は専門家の行政書士に依頼することをおすすめします。
この届出は提出書類も多くどんな書類が必要か地域によっても異なるので、知識が無い人が申請をしても何度も再提出することなります。なので僕は専門家の行政書士に依頼することをおすすめします。
防火対象物使用開始届出
ガールズバーを開業する7日前までに必ず提出が必要な『防火対象物使用開始届出』です。
これは店舗所在地を管轄する消防署に提出しなければならないものなので忘れないようにしましょう。
内装工事を行う場合は「防火対象物使用開始届出書」の他に「防火対象物工事等計画届出書」が必要になります。
届出の名称が似ていてややこしくなってきたのでまとめますね!
「防火対象物使用開始届出書」とは
「対象の建物(店舗)の利用をいつから開始するか」、「消防法で決められている必要な消防用の設備などが設置されているか(火災の防止)」を消防署に知らせるための書類です。建物の使用開始7日前までに提出をしなければいけません。
こちらは内装工事をする・しないに関係なく管理者(オーナー)が交代した場合において必要な書類になります。
こちらは内装工事をする・しないに関係なく管理者(オーナー)が交代した場合において必要な書類になります。
「防火対象物工事等計画届出書」とは
対象の建物(店舗)の内装工事をいつから始めるかということを消防署に知らせるための書類です。着工する7日前までに提出をしなければいけません。
また、防火対象物工事等計画届出書の他にも「防火対象物の概要表」、「平面図」、「案内図」なども同時に提出する必要があるので用意をしておいてください。
建物(店舗)を居抜きで使用するのであればこちらの届出は不要です。
(※ただし居抜きでも修繕・模様替えを行う場合は届出が必要です。)
また、防火対象物工事等計画届出書の他にも「防火対象物の概要表」、「平面図」、「案内図」なども同時に提出する必要があるので用意をしておいてください。
建物(店舗)を居抜きで使用するのであればこちらの届出は不要です。
(※ただし居抜きでも修繕・模様替えを行う場合は届出が必要です。)
上記の届出を提出しないと、消防法の規定に適していない建物(店舗)だった場合にあとから工事が必要になるケースがあります。なので開業前に必ず消防署へ行って相談し、必要な届出をするようにして下さい。
ガールズバーを開業・経営する時の注意点
ここからは僕が当時、勉強不足でとても苦労した経験から、「ガールズバーを経営するにあたって注意しておきたいこと」「知っておいたほうがいいこと」をピックアップして解説していきます。
「深夜酒類提供飲食店営業」と「風俗営業 第1号営業」を理解する
お客さん側からするとガールズバーもキャバクラも『お酒を飲みながら若い女の子とおしゃべりする場所』という認識だと思います。でも経営者側からすると、ガールズバーとキャバクラは法律で明確に分けられていて全く違うものになるんですよ。
【法律上の分類】
ガールズバーは「深夜酒類提供飲食店営業」
キャバクラは「風俗営業 第1号営業」
「え?キャバクラは裸になったり、性的なサービスは無いのに風俗営業になるの?」と思う人もいると思います。風俗営業の“風俗”という言葉の印象から性的なサービスをする店舗のことを指しているイメージが強いですが、そうではないのです。
ややこしいのですが「風俗営業」には大きく分けて二種類あるのです。
二種類に分けられる風俗営業
- 接待飲食等営業
- 性風俗関連特殊営業
②の「性風俗関連特殊営業」に含まれるのがファッションヘルスやソープランドのような性的なサービスを行うお店を指すんですよね。
そしてさらにややこしくなりますが、「接待飲食等営業」は五種類に分けられています。
五種類に分けられる接待飲食等営業
- 1号営業 └お客さんに接待をしてお客さんを遊ばせたり、飲食をさせたりする『接待付き飲食店』や『社交飲食店』のこと。
- 2号営業 └とても暗い店内(照度10ルクス以下)でお客さんに飲食をさせたりする『低照度飲食店』のこと。
- 3号営業 └他から見通すことが困難な小さな個室や、個別スペースを作って狭いスペース(広さが5平方メートル以下)でお客さんに飲食をさせる『区画席飲食店』のこと。
- 4号営業 └射的のような遊技設備を設けて、お客さんにギャンブルぽい遊びをさせるをさせる営業をする店のこと。
- 5号営業 └スロットマシンやテレビゲーム機などあらゆる遊技設備を設けて、お客さんを遊ばせる営業をする店のこと。
キャバクラはここに含まれます。
パチンコ店や雀荘はここに含まれます。
ゲームセンターはここに含まれます。
つまりキャバクラは、2種類ある風俗営業の中の、接待飲食等営業に該当し、さらに細分化されている1号営業に含まれるから「風俗営業 第1号営業」に区分されるということです。
そもそも2種類ある風俗営業のうちどちらにも該当しないガールズバーとは全くの別ものなんですよね。
そもそも2種類ある風俗営業のうちどちらにも該当しないガールズバーとは全くの別ものなんですよね。
お客さんに接待をするなら「風俗営業許可」が必要
キャバクラのようにお客さんに対して、接待を伴う接客をしたいのであれば警察署で「風俗営業許可」を申請をする必要があります。
ただここで問題なのが、「風俗営業許可」と「深夜営業許可」は同時に申請することが出来ないという点です。
※深夜営業許可とは記事の冒頭で解説している「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」のことです。
・・・ということは
- 深夜0時から午前6時にかけて営業したい
- お酒の提供をメインに営業したい
- お客さんの隣に座って会話や飲酒をする接客(接待)をしたい
なので、だいたいのガールズバーは
- 深夜0時から午前6時にかけて営業する
- お酒の提供をメインに営業する
- 接待はしない
逆に言えば、「風俗営業許可」を申請して営業しているキャバクラは「深夜0時から午前6時にかけての営業はできない」ということになります。(0時以降も営業しているキャバクラが多いのが現状ですが…。)
※地域によってはキャバクラの営業時間が1時まで許可されている場合もあります。
もし「風俗営業許可」を申請していないのにガールズバーで接待行為をした場合は違法営業ということになり、2年以下の懲役もしくは最高200万円以下の罰金という罰則を受けることになります。
ガールズバーを経営する上で重要な法律「風営法」
風俗営業に関係する言葉で、『風営法』って言葉をご存じですか?
ナイトワークをしたことがある人なら意味はよく知らなくても聞いたことはあると思います。
この風営法の正式名称は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」になります。それを省略して『風営法』と言っているのです。
この風営法ですが、正式名称を見るとなんとなくわかるとおり『業務の適正化』を行う為の法律ということです。そしてこの法律は、風俗営業の業務の適正化を行うためだけの法律かというとそうではないんですよね。
正式名称をよーーーく見てもらえるとわかると思うんですが「風俗営業等」なんですよ。 この「等」の中にガールズバーのような「深夜酒類提供飲食店営業」も含まれるってことなのです。
「ガールズバーに風営法は関係ない」と思わないようにして下さいね!
経営者・店長としてガールズバーで働く従業員に徹底した教育を行い、全員が違法営業について理解できるように努めて下さい。
経営者・店長としてガールズバーで働く従業員に徹底した教育を行い、全員が違法営業について理解できるように努めて下さい。
ガールズバーでカラオケを導入する
ガールズバーを開業しようとしている方の中に、カラオケを導入することを検討している人がいると思います。僕の経営していたガールズバーでもカラオケを導入していました。
でもカラオケを導入するにあたり気をつけなければいけないことがあります。
カラオケを導入する時に気をつけたいこと
- 深夜0時以降に不特定多数のお客さんにカラオケを勧めることは遊興行為にあたる ※「遊興」とは店側の働きかけによってお客さんに遊び興じさせることをいいます。
- お客さんと一緒に歌うことは接待にあたる
- お客さんの歌に合わせて手拍子することは接待にあたる
- 防音対策をしっかり行い騒音に気を付ける
この点を勘違いをしているガールズバーが多く、お客さんとカラオケでデュエットをしているケースが多々ありますがこれは違法営業になります。
警察にバレなければいいと言ってしまえばそれまでですが、僕のガールズバーでは徹底していました。
お客さん同士や、お客さんが一人でカラオケで歌う分には違法にはなりません。
お客さん同士や、お客さんが一人でカラオケで歌う分には違法にはなりません。
深夜のカラオケ騒音は通報されてしまうこともあります。度重なる通報や苦情により立ち入り検査が行われる可能性もあるので、カラオケの音には注意してください。
ガールズバーで未成年を雇用することはリスクがある
ガールズバーを開業するにあたり、女性スタッフを募集しますよね。
その際に「未成年は雇用できるのか?」と迷う場合があると思います。
下の表をみてわかるとおり、未成年の雇用には法律的な制限があります。
高校生 (18歳未満) |
18歳未満がガールズバーで働くことは出来ない ①「労働基準法第61条」で18歳未満を22時以降(深夜帯)に働かすことは禁止されている。 ②「労働基準法第62・63条」で酒席に侍する業務は禁止されている。 |
高校生 (満18歳) |
法律的には働くことが可能。 満18歳の高校生を雇ってはいけない法律はありません。22時以降(深夜帯)の時間制限もありません。あとは高校の校則とお店側の方針次第です。 ただし「未成年者飲酒禁止法」により、20歳未満が飲酒するは禁止されています。 |
高校卒業後 18歳~20歳未満 |
法律的には働くことが可能。 未成年ですが雇ってはいけない法律はありません。22時以降(深夜帯)の時間制限もありません。あとはお店側の方針次第です。 ただし「未成年者飲酒禁止法」により、20歳未満が飲酒するは禁止されています。 |
ガールズバーはお酒が取り扱う仕事なので、20歳以上の人を雇用するのが一番ベストでしょう。
しかし、ガールズバーで働く女の子の平均年齢は若いことが多いです。
そのため若い子を売りにしたガールズバーを経営するのであれば18歳以上(高校を卒業してから)の女の子を雇用してもいいと思います。
僕の個人的な意見だと「トラブルを避けるため」に満18歳であろうと高校生の雇用は避けた方がいいかなと思います。
参考:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-8a.pdf
「ガールズバーは何歳まで働けるのか?」について気になる人は下記記事を参考にしてみて下さい↓
ガールズバーを経営する上で「従業者名簿」は必ず必要
警察24時などの番組で、悪質なキャバクラなどに警察の立ち入りがあった際「従業者名簿を見せて」と言っている風景をみたことがあると思います。
労働基準法第107条により、雇用人数や店舗の規模に関係なく、従業員を雇っている場合は従業者名簿を作成・保管しておくことが義務付けられています。もちろんガールズバーだけではなく普通のお店でもその対象になります。
※従業者が退職した場合、解雇した場合、死亡した場合も3年間は保管しなければいけません。すぐに捨てないように注意して下さい。
従業者名簿の必須項目
- 本名(源氏名はNG)
- 性別
- 生年月日
- 住所
- 雇用を開始した年月日
- 退職した年月日と退職理由
- 業務の種類
- 履歴
- 死亡した年月日と死亡理由
フォーマットが作れない方は厚生労働省の下記フォーマットを印刷しましょう。
パソコンでデータ化&手書き、どちらの管理方法でも許可されています。
参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/pdf/b.pdf
従業者名簿は記載したあと、必ずその内容に間違いが無いか確認して、その確認に使用した書類のコピーを従業者名簿に添付してください。 何を見て確認すればいいかというと下記のような『生年月日・本籍が記載されているもの』に限ります。
- パスポート
- 運転免許証
- 住民票の写しor住民票の記載事項証明書
- 住民基本台帳カード
- 戸籍の謄本
警察に従業者名簿の提出を求められた時に「従業者名簿が見つからない」「従業者名簿を作っていない」と言って提出できないと、法律違反として10日以上80日以下の営業停止処分(基準期間20日)、100万円以下の罰金になるので、「従業者名簿」はいつでも提出できるように準備しておいて下さい。
【Q&A】ガールズバーの開業&経営に関してもっと知りたい!
ガールズバーの開業や経営をするにあたり、かなり法律的なことが絡んでくることがわかってもらえたかと思います。僕は法律の専門家では無いので、詳しく法律を説明することができませんがわかる範囲内でお答えします。
20歳から24歳まで務めたキャバクラのボーイで開業資金を貯めました。